かじかのつぶやき

絵を描き 写真を撮り 本を読み 猫と遊ぶ ときどきお仕事な日々。。。

引き継いでいくこと。。

今さら今ごろ、

新年明けましておめでとうございます。
今年も拙いブログをよろしくお願い申し上げます<m(__)m>

いや、noteには記事書いてたのよ。

note.com
(ついついあちこちに書き場所を作るとネタが散らかるな)

年が明けたからと言って、
何か変わったとか終わったとか生まれたとか、
そういう事が一切無い、単に日付が変わっただけで日常が続いて行く年末年始を過ごす様になって何十年も経つ。
そういう当たり前の日々が一番幸せだと、爆撃を受ける国の映像を見る度に痛感する。

日本もいつかまた、空を赤く焦がす様な事が起こるのだろうか(不吉な事を)。

それはともかく、
一白水星な私にとって、色んな意味でグッタリした2022年が去っていった。
会社を辞めた事も大きかったが、その後の日常が全然落ち着かない日々の連続だったのも一白水星ゆえの事かなと思ったり。
こんな日常が、今年も来年も再来年も続いていくのかなと思うと、やっぱり私は働く場所を見つけた方が良いのかもしれないと、秋頃からずっと考えていた。
(ならさっさとハローワーク行ってこいよって話ですね、ええ)

仕事に追われていて、もっと好きな事がしたい、この人生でやるべき使命を見いだしたいとか、カッチョイイ事を考えてたけど、考えるだけじゃダメよね。そこから一歩踏み出さないと←そこで踏み出せてないワタシがいる。

一歩踏み出した訳じゃないけれど、今までと少し違うのは、
パステル画を再び描き始めた事だ。


この10数年はずっと色鉛筆画を描いて来たのだけれど、コロナ禍で色鉛筆画教室2つがお休みになってしまい、なら自作を量産出来るじゃないかと思ったものの、何というか、筆が走らないと言うか、、、←つまりやる気が起こらない

そんな時、
あるご婦人に言われた。
パステル画、一緒に描きましょうよ」

その方、ここではHさんと表記しましょう。
Hさんは、今私がお世話になっている恵比寿の絵画教室が、東口の小さなビルの1階にあった頃に出会った方だった。
31年前の秋、私は「ケイコとマナブ」に出ていた絵画教室の無料体験レッスンを申し込んだ。
デッサンをやり直そうと思って、スケッチブックと鉛筆を携えて、教室の扉を開けた時、そこにいらしたのがHさんだった。
当時、すでに60代だったので、私はてっきり絵の先生だと思って挨拶したら、
Hさんは生徒さんの一人だった。

私「この教室に通われて長いのですか?」
H「そうねえ。10何年経つかしらねえ」

穏やかで上品な佇まいに(さすが都会のご婦人は違うな)などと思ったもんだった。

やがて先生がお見えになり、他の生徒さんも次々来られて(8割が私よりずっと年上のご婦人)和やかな空気と静かな時間の流れの居心地良さに惹かれながら、鉛筆デッサンのレッスンが始まった。
生徒の皆さんはパステル画や油彩画を制作されていて、気がつけばいつしか私もパステル画を描くようになり、公募展にも出品して、なんどか賞を頂いた。
その後、色鉛筆画に移行してからも通い続け、気づけば31年が経過。
私とHさんは、ご一緒した時間が一番長いお仲間同士になっていた。

コロナ禍となり、しばらくお休みになってしまった教室が再開した時、
Hさんは90歳を過ぎて益々お元気だった。

Hさんは私に「またパステル画描きましょうよ。教えるのも良いけど、自分の絵を沢山描いた方が良いわ」と度々おっしゃっていた。

パステル画から離れて20年近い。もはやどう描くのかもおぼつかない。
どうしたものかと思っていたが、意を決して再びパステルを手に取った。
その事を一番喜んでくださったのがHさんだったが、別れは突然訪れた。

昨春、転倒して大腿骨を骨折し、急遽入院された。
数ヶ月の入院とリハビリにより、杖をついて歩けるところまで快復したが、
食欲が落ち、内臓の検査をしたところ、進行した癌が見つかった。
それからまもなく、お正月を迎える事なく旅立たれた。

パステル画描きましょうよ」
Hさんの言葉がずっと脳裏に響く。

本当にお元気な方だったから、復帰されたらパステル画を一緒に描けると思っていた。
家の机の引き出しには、沢山の手紙。筆まめな方だった。
優しい言葉と柔和な笑顔。若かりし頃は美人で評判だったそう。

もう会えない。



そして私はパステル画を描き続けている。
先生は容赦なくダメ出しの嵐だ。
色鉛筆とパステル、似て非なる画材の描き分けに苦労しつつ、再スタートだと思って色を置く。

花を描くのがもっとも難しく、バラやユリの花が得意だったHさんに語りかけながら手を動かす。

私(Hさん、描けません。どうしよう)

H(大丈夫よ。楽しめばいいのよ)笑顔の彼女が脳裏に浮かぶ。

楽しめない。苦しい。

H(好きなように塗ってみればいいのよ)

悪戦苦闘の末、どうにか描き終える。
Hさんがニコニコしながら、教室の端っこで私を見守っている。

(大丈夫よ。Kさんなら描けるわよ)



前回、S先生に「あなた、絵が変わったわね。お上手だわ。さすがね」
と、やっと花丸印をもらった(多分)。

美しいパステル画を数多く遺されたHさんに、私はまだ遠く及ばない。
でも、引き継いでいく事で、少しでも近づけるかなと思っている。

それまで、また先生から叱咤の嵐かなー(;´Д`)

でも頑張ろう。
私なら描ける、はず。はず。