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かじかのつぶやき

絵を描き 写真を撮り 本を読み 猫と遊ぶ ときどきお仕事な日々。。。

ことばの海へ、漕ぎ出そう。

映画やTVの事 読んだ本の事

20年前の春、私は結婚しました。

地元や母校、職場の友人達が数多く出席してくれた披露宴のことは、今でも大切な思い出です。

その日から遡る事半年あまり。
結納が済み、式の日取りを決める事になった頃、中学時代の友人から連絡をもらいました。
「結婚祝いは何がいい?」

彼女は私のはとこで、小学校の先生をしていました。

私は即座に、

「国語辞典と漢和辞典と、万年筆!」
・・・と答えました。

突拍子もない答えに友人は大笑いしながら
「それでいいの?」
と念を押しましたが、私は他に何も思い浮かばなかったので
「うん、ありがとう!よろしくお願いします♪」
と言いました。


実は私、辞書って結構好きなのです。

言葉の意味を調べるだけじゃなく、読み物として。
百科事典なども好き。めくっているだけで楽しい。

解らない物事を調べるという通常の使い方もしますが、何も調べる事柄が無くても辞書をめくります。

「あ」から順々に、書物を普通に読むように、辞書を「読んで」いくのです。
「わ行」から引く事も、もちろんあるし、パッと開いた頁から読み始める事もあります。

そこにちりばめられた「ことば」の数々。
知らない言葉や物事を知ることの嬉しさと楽しさ・・・

私の辞書デビューは、小学校にあがった時です。
両親から「学習国語辞典」をプレゼントしてもらいました。

子供向けですが、編者は言語学者の金田一京助先生でした。
写真や図版・挿し絵も多く、国語辞典と言うよりちょっとした百科事典の様でもありました。

童話やマンガを読み尽くすと、私は学習国語辞典を読みました。
サラサラと読むだけで、内容をろくに覚えなかったのは、学校の成績を見れば一目瞭然なのですが(笑)

それでも子供ながらに「秋芳洞」という鍾乳洞がとても大きくて凄いらしい事や、尾羽がとんでもなく長くなる、オナガドリというニワトリの存在なども辞書を引いて知った知識で、凄いなぁと思ったものでした。



どんな国語の辞書、百科事典もそうなのですが、「あ行」の「あ」の項目ってとても多いです。

辞書だけじゃありません。
職場で年賀状の宛名書きをしていると、「あ行」がやはり多く、続いて「さ行」も多いです。
「さ行」が多いのは、埼玉在住というのもあるかもしれないと思いましたが「埼玉」と先頭につく宛名はそれほど多い訳ではありません。

なんでまたふいに、そんな事を書いたかと言いますと、先日読んだ本の影響です。 

舟を編む (光文社文庫)

舟を編む (光文社文庫)

 

 この小説は何年か前の「本屋大賞」に選ばれた作品で、
辞書好きな私としては、いつか読もうと思いつつ、大分歳月が過ぎてしまいました。

文庫化されて書店に並んでいるのを見つけ、読むなら今だ!(笑)と思って手に取ったのです。

☆あらすじ☆
玄武書房の辞書編集部は、本社ビルのそばにある古びた別館で、定年間近となった社員の荒木は新たに作成・出版する国語辞典「大渡海」の編集社員を探していた。
同じ辞書編集部で営業を担当している西岡が、同期のちょっと変わった男を荒木に紹介する。
それが、馬締光也だった。
荒木は、馬締の辞書編集者としての能力を試す。

「君は『右』を辞書でどう説明する?」

馬締はしばらく考えたのち、こう説明する。

「・・・北を向いて立った時、東に当たる方向です」

馬締は、全く向いていなかった第一営業部から、辞書編集部へと異動が決まった。

学生時代から住み続ける下宿の1階を本で埋め尽くし、大家のタケおばあさんと、トラ猫のトラさんとの静かな暮らし。
タケおばあさんの孫娘で、板前修業をしている美しい女性・香具矢との出逢い。
何度も編集は滞り「大渡海」の出版は難航を極める。
それでも諦めずに、出来る能力を最大限に発揮して、馬締光也はじめ定年後も辞書づくりに関わる荒木と、老齢の国語学者・松本。
彼らを裏方に徹して支える中年女性の佐々木。
馬締の編集者としての能力を羨みつつも、営業能力で部署の苦難を吹き飛ばそうとする、チャラい西岡くん。

言葉の海へ漕ぎ出す舟。それが国語辞典であり「大渡海」だと、松本は静かに力強く語る。
舟を編むこと。それこそが辞書作成の長い長い闘いの日々。



この本を読み、私はそれまで辞書の編纂がこんなにも根気が必要で体力勝負の闘いの場なのだと全く知りませんでした。
改めて、手元の辞書に愛着が湧きましたよ・・・

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上記の辞書が、中学時代の友人数名が贈ってくれた国語辞典と漢和辞典。
小学校の先生らしく?小学館の辞書です。
これは職場に持ち込んで、文書作成の時に使っています。
最近はパソコンでの文書作成が増え、ネットで簡単に語句や意味を調べる事が出来ますが、郵便物の宛名や挨拶状などは今も手書きで送る事にしていますから、漢字や言葉の意味を調べる為に辞書は欠かせません。

一緒に頂いた万年筆は、赤茶色の皮革が巻かれたプラチナの万年筆でした。
細字のペン先はとても繊細で、選んでくれた友人が思われます。
あの時は本当にありがとうね、めぐちゃん。


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独身時代に愛用していた、講談社の現代実用辞典。
こういう実用辞典が一冊あると本当に便利です。

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実用辞典の中身。ちょっとしたミニ百科事典の様です。
言葉の説明はもちろん、相当する英単語も出ていて和英辞典としても使えるし、手書き文字の見本もあって、宛名書きには重宝します。
漢和辞典としての機能もあり、漢字調べにも役立ちます。


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母方の叔母が結婚した時の引き出物。
私は結婚祝いに辞書をもらいましたが、叔母は引き出物で配りました。

広辞苑岩波書店ですが、この「広辞林」は三省堂
非常に分厚く、重たいです。
広辞苑が欲しいな、と思いつつも、30年以上前にもらったコレがあればいいかな・・・とも思ったり・・・でも改訂版も必要な気がするし・・・

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2004年の8月。丁度11年前に、ブログを開始しました。
当時のサイトはもう消してしまいましたが、それと前後して買ったのが、
この「類語大辞典」です。
書店で平積みになっていた時、帯に井上ひさし氏推薦の言葉『魔法の辞書』につられて、思わず買ってしまいました(笑)
いや別に井上ひさしさんの大ファンて訳でも無く、むしろ高校時代に何となく買ってしまった彼の小説が難し過ぎてあまり楽しんで読めなかった記憶があります。 

吉里吉里人 (1981年)

吉里吉里人 (1981年)

 

34年前の、非常に分厚くて辞書の様な小説ですが、多分物置にまだ残っているはず。
引っ張り出して読んでみようかな・・・ 

その「言葉の遣い手」、言葉の名人でもある井上さんのご推薦とあらば・・・

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でもまだ使いこなせてませんね・・・


舟を編む」に戻りますと、
広辞苑で使われている紙は「ぬめり感」があるんだそうです。
とてもとても薄いのに文字が裏抜けせず、ちゃんと1頁ずつめくる事が出来る。

辞書の紙質なんて、気にした事はありませんでしたが「舟を編む」の文中にその事が出て来ます。

「大渡海」に使われる紙は、広辞苑のような「ぬめり感」が必要だ、と。

そして、前述の様に、あ行が多い事も語られています。

三浦しをんさんの取材力も素晴らしいです。思わず出版社で働きたいと思いました。
本や言葉に囲まれてるのって、絵を描くのと同じくらい好きなのだと、今さら気づきましたね(笑)

舟を編む」は大ベストセラーになり、映画化もされました。 

舟を編む 通常版 [DVD]

舟を編む 通常版 [DVD]

 

 馬締光也は、松田龍平
林香具矢は、宮崎あおい
2人とも、イメージ通りでした。特に松田龍平さんは馬締光也そのもの!
映画が原作の良さを台無しにする事はよくありますが、この映画に限って言えばそれは当たりません。
原作とは多少違う部分もありますが、全く違和感無く楽しめます。
辞書に載せる言葉を黙々と管理してパソコンに打ち込む佐々木さんを、伊佐山ひろ子さんが演じており、こちらもイメージ通り!

言葉って、難しいですね。
日本語は特にそうじゃないかと思います。

ちょっとした事で傷ついたり傷つけられたり。
言葉を選ぶ事で、その場を明るくしたり暗くしたり。

私もしょっちゅう色々な場面に遭遇し、やっちまった・・・と思う事もあれば、
その言い方はあんまりじゃないか(怒)と感情的になったりします。

「ペンは剣よりも強し」と言う名言を遺したのは、17世紀にルイ13世に仕えた枢機卿リシュリューですが、

「言葉は針よりも鋭い」
「言葉は氷よりも冷たい」
「言葉は炎よりも熱い」
「言葉は花の様に美しい」

そんな「迷言」も傍らに添えたいと思います(笑)

ああ、やっぱり広辞苑、欲しいなぁ・・・

ぬめぬめ、感じたい・・・ウフッ♪←こらこらww