さよならは風のように
・・・また随分と、私のキャラから外れたタイトルをつけたもんだw
実は数日前、不思議な事がありました。
ある夜のこと、
私は洗面所で顔を洗っていました。
まー、女性の皆様ならお風呂の前後にクレンジングとかパックとかアンチエイジングなお肌のお手入れとか色々なさると思いますが、私も一応、石鹸をブクブクと泡立てて顔を泡だらけにしていた訳です。
我が家の風呂場と洗面所は中2階にあり、階段を半分上がった踊り場にドアがあって、洗面台と洗濯機が並び、その奥のドアを開けるとお風呂場です。
その日の夜も、
いつもと変わらずに歯を磨いて、洗顔石鹸を泡立てていました。
加とさんは先にお風呂に入り、
顔と頭をカミソリでジョリジョリ剃っておりました。
あの方は「カラスの行水」で、ちゃちゃっと洗ってとっとと出て来てしまいます。
(ちゃんと浴槽に浸かってるんかいな・・・)とブツブツ思いながら、
蛇口をひねって泡を洗い流していた時、
フウッ・・・・・・・・・・
前屈みで顔を洗う私の背後を、何かが通り抜けて行きました。
そして、お風呂場のドアが少し開いて、中に誰かが入っていった様な気配を感じました。
加とさんがカミソリを忘れたのかと思い、お風呂場のドアを更にあけて中を見ると、
誰もいない。
気のせいか・・・
・・・いや、気のせいじゃない。
「なにか」が通った。
確かに、通った。
加とさんは時々「見える」ヒトなので、家の中を見知らぬ「ひと」が通り過ぎて行くのを時々目撃していました。
「霊道」という魂の通り道が、時々ポッカリと開くのでしょうね。
普段は殆ど見えないそうなので、たまーに道がつくみたいです。
私はそういうのは全く見えません。
霊感もありません(そもそも鈍いw)
そんな私が、
確かに「なにか」が、踊り場のドアから、風呂場のドアに向けて移動したのを感じたのです。
見えた訳ではないけれど。
その話を、
翌日の夕飯どきに「昨日、お風呂場に何か入ってったよ」とボソッと言ったら、母が仰天して、
「私も!同じ!風呂場に何か来たわ!」
と言う訳です(*゜д゜*)
母はその日2番目に風呂に入り(加とさん3番私が最後)その後は洗面所で顔を洗っていました。
すると、母の背後で何かが、
「パサ・・・」
と落ちた気配がした後、フワリと風が通り抜けたそうです。
(あれ?どこか窓が開いてたっけ?)
母は顔をあげて、洗面所のドア、窓、風呂場のドアなどを目で確認しましたが、どこも閉まっていました。
おかしいな・・・と思いつつ、
私と同様に「なにか」が来たんだな、と察しました。
不思議な事もあるもんです。
しかも今回は私だけじゃなく母まで気配を感じていました。
私は「目に見えない存在」が身近にいつも「居る」事は間違いないと思っていたので、さほど深く考えもせず、もしかしたら3月に亡くなった猫のふうちゃんでも来たのかな、ぐらいに思っていました。
その翌朝。
朝早くから電話が鳴り、受話器を取ると、親戚からでした。
「○○○○が昨日、亡くなったって」
「えっ・・・エエエエエ???」驚いて叫んだ私。
○○○○さんは、父方の従兄でした。
1ヶ月前に会ったばかりでした。
従兄の住む地域と私の家がある辺りはお盆が7月です。
なので、互いの家を行き来する習わしがありました。
従兄は父の姉、つまり伯母の息子でした。
伯母はお正月、春秋のお彼岸、7月のお盆には必ず来訪し、仏壇にお線香をあげてくれました。
従兄は年老いた伯母の運転手&付き添いで、一緒に我が家に来られました。
伯母が入院した後も、従兄は1人で我が家に来てくれました。
昨秋、その伯母が亡くなり、従兄も体調を崩していましたが、今春のお彼岸から再び我が家に来られるようになりました。
亡くなる1ヶ月前のお盆の時も、お線香をあげに来てくれました。
痩せて、小さくなった顔の白さはとても気になりましたが、ちゃんと治療してこれから良くなって行くのだとばかり思っていたし、従兄も「身体治してこれから頑張らないと」と話していたのです。
母も「まだ若いから大丈夫よ!」と励ましていたのに、こんなに早く天に召されてしまうとは。
ついこの間会ったばかりの私と母は、呆然とするばかりでした。
そして・・・
あの夜・・・
顔を洗っていた私と母が感じた「気配」は、
従兄だったのかな・・・
最期になった7月の来訪を見送ったのは、私と母と、
猫のメイでした。
メイは猫好きの従兄になついていて、従兄の来訪には真っ先に玄関に出てニャーニャーとお出迎えしていたメイ。
そのメイが、玄関の何も無い空間を見つめて少し寂しそうに鳴くのを見ました。
メイにも見えていたのかな・・・
母は昔から、親しい人が亡くなる直前、枕元に現れると言う体験をする人です。
気配を感じたのは、従兄の死の2日前。
「あれはきっと、○○○○さんだったんだろうねえ」
「お別れに来てくれたんだと思うよ」
洗面所を吹き抜けたゆるやかな風の様に、
穏やかだった人柄そのままの【さよなら】だったと、
私も母も思っています。
お通夜の席で、棺に眠る従兄の安らかな顔を見て、
(わざわざお知らせありがとう。お休みなさい)
と語りかけたら、どこかで従兄がクスッと笑って見下ろしているような気がして、
もう、うちには来ないんだなあと改めて寂しく思ったのでありました。
合掌