かじかのつぶやき

絵を描き 写真を撮り 本を読み 猫と遊ぶ ときどきお仕事な日々。。。

おじいさんのロマンの結晶

ずっと観ようと思いつつ、
混んでるだろーなーと予想して行けなかった映画を、昨日観てきました。
宮崎駿監督作品「風立ちぬ」

風立ちぬビジュアルガイド (アニメ関係単行本)

風立ちぬビジュアルガイド (アニメ関係単行本)


ラストが解るような、ネタバレ的な事は控えようと思いますが、観て思った事はただ1つ。
ジブリ作品にしては珍しくオトナ向けだな、と。
その昔製作された「紅の豚」も、どちらかと言えばオトナ向けだったけれど、今度の作品はむしろ、オトナ限定でも差し支えない気がします。

主人公・堀越二郎の声をヱヴァの監督・庵野さんが演じられると聞き「えー・・・(;´д`)」と思いました(笑)
実際、前半の「声」は台詞が棒読みっぽくて違和感がありました。
友人・本庄役を演じた西島秀俊さんや、上司の黒川を演じた西村雅彦さんの声はとてもステキでしたので、余計に浮いた印象が否めません。
とは言え、後半になると庵野さんの声は段々柔らかくなり、耳に馴染んで来ました。
最終的には、庵野さんでOKだったなあと思えました。木訥とした語り口は、かつて「耳をすませば」で、主人公・月島雫の父親の声を演じた立花隆さんに少し似ています。

ヒロイン・菜穂子を演じたのは某自動車損保のCMで顔を見かける滝本美織さん。
彼女は3年前の下期朝ドラ「てっぱん」のヒロインを好演された方ですが、当時から「泣き」の演技が巧いと言われていました。
今、BSで夜7時から再放送していますが、改めて彼女の泣くシーンを観ると、大きな瞳に涙がワーッとわき上がり、大粒の真珠の様なしずくをポロポロとこぼす。
こんなに情感溢れる涙を流せる若手女優さんは珍しいと思います。観ているだけで、もらい泣きしそうになります(笑)

「風立ちぬ」の中でも菜穂子が愛する二郎に涙声で話すシーンがありますが、きっと滝本さんもマイクの前で大粒の涙をこぼしながらのアフレコだったと思われます。

さて、映画の感想ですが、
試写の感想がもぉこれ以上にないくらいの大絶賛の嵐だったので、どんだけ素晴らしい作品なのか、12年ぶりにジブリ映画を劇場で観たくなった訳ですが、一言で言えば、
「ん・・・なかなか良い映画だったな」という感じでしょうか。
宮崎さんが胸に秘めてきた「おじいさんのロマン」が花開いた、という印象です。

圧巻だったのは、関東大震災のシーンです。
海からの震動が一気に東京の街を揺るがし、崩壊させていく場面の描写力に圧倒されました。
きっと、東日本大震災も、こんな風に街並みを揺さぶったんだろうなと思うと、改めて地震の恐ろしさに胸がつまりました。

また、突っ込みたい所も一箇所ありました。
重箱の隅を突くような小さな小さな事ですが、あきらかにチェックが甘いかな、と。

二郎が初めて設計した飛行機が試験飛行で墜落するシーンがあり、雨の中、墜落原因を探ろうとする上司・黒川と二郎の会話の部分。
二郎のネクタイの結び目がおかしいのです。
アレはないだろー!と心の中で思った数秒後に、黒川の顔に画面が切り替わり、再び二郎の姿に切り替わったら、結び目はちゃんとしたネクタイの結び目になっていました。

作画したスタッフさんが違う人なんでしょうね。多分、先に出て来たシーンの作画は若い方か、もしくはネクタイ結びの経験がない女性じゃないかな?って思いました。

私は高校時代の制服がブレザーにネクタイだったので、3年間、冬服の時期はネクタイを毎日結んで登校していたため、ネクタイの結び目にはこだわりがありまして(笑)

ほんの数秒ですが、その部分が妙に残念でした。
ストーリーに関わる部分じゃないから、まぁ、どーでもいいんでしょうけれど・・・

それから、今回痛感した事。
この先、ジブリアニメを観たいと思う機会があったら、昼間の回は避けてレイトショーにする。
昼間を避ける、というより、オコサマを避けたいのです。
今回、私の隣には、中学生とおぼしき10代半ばの女子が2人連れで座っていました。
彼女達は飛行機の設計云々の流れがちんぷんかんぷんだったのか、2人でずうっとゴソゴソと動いていて飽きちゃってる感じでした。
売店で買ったであろうスナック菓子をムシャムシャ・・・ジュースをゴクゴク・・
常になんか、動いているもんだから画面に集中出来なくて困りました。

映画が後半にさしかかると、2人とも席を立って出て行きました。
(あ、やっぱり理解出来なくてリタイアか。良かった・・・)
と思ったのもつかの間、彼女達は両手に新たに補充したお菓子を持って、席に戻ってくるじゃありませんか!!!
そして、とても大事なシーンで、
ポリポリガリガリボリボリガツガツムシャムシャガサガサゴクゴク・・・・
と、延々とステキな音を出しては、ごそごそ動いているのです・・・(涙)

(あんたたち、ちょっと静かに出来ないの?)と怒鳴る&グーでパンチ・・という衝動と闘いながらの後半でしたよ・・・

座席の前方には小学生も座っていましたが、彼等の方がよっぽどお行儀がよろしいわ(怒)

こんな事にはもう二度と遭遇したくないので、ジブリはレイトショー限定にします。

声のキャスティングには、有名俳優さんが名を連ねていました。
宮崎さんはいわゆる「声優さん」をキャスティングするのは好かないのでしょうかね。
確かに、一般人はファンでない限り、声優さんにはそれほど詳しくないので、知名度が高い俳優さんを起用すると「人寄せパンダ的」効果もあるでしょうね。
それ以外にも、今回の庵野さんの起用の様に「演じ過ぎない、普通の声」にこだわってらっしゃる様な気がします。

正直、宮崎アニメは「千と千尋」を劇場で観て以降は全く見ていませんでした。
私個人の感覚では、「もののけ姫」がピークだった様に思えます。

「千と千尋」以降でDVD等で観た作品は「借りぐらしのアリエッティ」と「コクリコ坂から」の2本です。
2作品とも宮崎監督作品ではなく、彼の弟子・ご子息が監督した作品で、宮崎カラーから脱却して、新たなカラーをジブリのスタジオに取り入れてくれないかな、と密かに期待していますw

そう言えば、秋には久しぶりに高畑勲さんの作品が公開されるようですね。
私は高畑作品の緻密さがとても好きなので、期待しています☆