走れ走れ走れ!
ここ数年、本はノンフィクション系のものばかり読んでました。
別に深い意味はないのですが、小説と呼ばれるジャンルから遠ざかっていたのでした。
何故か手が出なかった。
エンタメ分野に興味を失いつつも、朝ドラなんかは欠かさず観てたんですけどね。
それがふいに、何か呼んでみたいなと思い立ち、年明けから文庫本を3冊ほど続けて読みました。
そのうちの一冊。
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/06/27
- メディア: 文庫
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小説を読んで涙を流す事は、これまで皆無でした。
それがまぁ、この本に至っては(笑)
電車内で読んだのですが、マスクをしていて助かりました。
常に鼻がつーんとして、涙腺がゆるんで困りました。
マスクをしてうつむいていたので、泣き顔になってしまうのが隠せたと思います(笑)
都内の、とあるオンボロ下宿。
そこに住んでいる大学4年生の清瀬は、コンビニのパンを盗んだ若者の走り方に目を奪われる。
その若者は、同じ大学の1年生、走(かける)だった。
入学式前で住処が決まっていない走を、清瀬は自分のオンボロ下宿に住まわせる。
そこには、同じ大学に通う個性豊かな下宿人が暮らしていた。
走を加えて丁度10人。
清瀬は密かにある計画を実行に移そうと考えていた。
それは、箱根駅伝に出場する事だった。
清瀬の爆弾発言を聞いて、陸上競技と無縁な下宿人達は一様に驚き、無理だ無謀だとまくしたてる。
が、清瀬の思いの方が強く、熱かった。
下宿人達は次第に清瀬の思いに従い、走る練習を始めていく。
高校時代、将来有望と言われながらも問題を起こして陸上部を去る事になった苦い過去を持つ走は、そんな清瀬の行動に疑問を呈して反発する。
が、走自身も、忘れかけていた走る事への情熱が蘇り、いつしか10人は清瀬と同じく熱い思いで箱根を目指していく。
たった10人で箱根を目指すなんて、確かに無謀なのですが、それでもみんなは頑張るんです。
そして、清瀬が見抜いた通りに、彼等は隠れた素質を現して、ドンドン記録を縮めていく訳です。
そのくだりと、最後の箱根駅伝での疾走場面では、目頭が熱くなる事数十回。
私自身は走る事はもちろんスポーツ全般がダメ過ぎなのですが、そんな私でもとても楽しく読めました。
父は箱根駅伝オタクで、若かりし頃に勤め先の大手町で、往路スタートと復路ゴールを間近で見たのがきっかけとなり、以来箱根駅伝のTV中継が始まるとテレビの前から全く動かなくなります。
私達家族はそれを冷ややかな目で眺めつつも(笑)、熱くなってる父に引っ張られるように、往路・復路の途中経過はテレビやラジオで毎年チェックを欠かさないのでした。
今年の箱根は、これを読んだ後だったら、父と同じようにテレビにかじりついて見たのかも。
でも、残念ながら、これを読み始めたのは、正月の三が日が終わって数日経った時でした。
映画化もされた事すら、読み終わった後に知りました。
エンタメ離れで全然知らんかった・・・
こちらも鑑賞してみようと思います。
その願いが普通なら無理と解っていても、必ず叶うと信じてやり遂げる大切さを、改めてこの作品で気づかされました。
決して、あきらめない。
思えば諦める事が多い人生だったな(笑)
今年はもう少し、諦める前にもう一踏ん張り頑張れる生き方をしてみよう。