かじかのつぶやき

絵を描き 写真を撮り 本を読み 猫と遊ぶ ときどきお仕事な日々。。。

手放すとき・・・

アトレ恵比寿の7階には、とあるカルチャー教室があります。
そこには「ツキイチ色鉛筆画教室」という講座があり、私はそこで色鉛筆画の講師をしています。生徒さんはお二人いらっしゃいます。

私に「他人に物事が教えられるんだろうか?」という不安は常にありますが、今のところお二人とも非常に楽しそうに絵を描いていらっしゃいます。 ちょっとした裏技を使えば、絵って言うのは「それなりに」見栄えが良くなるものなのでして、私はそういう部分をアドバイスしてあげるんですね。

そうすると、自分はド素人だと思っていたのが結構ステキに仕上がって、すごく感激する訳ですよ。 美大受験の講座じゃないので、私は手っ取り早くマシな絵が描ける方法を伝授しているのです。

そういう事は、恵比寿の教室で始めた訳じゃなく、これまでみんなが通っていた南青山の「アトリエ・ドガ」で既に試みていた事でした。

2009年の11月から、私は第一土曜日に色鉛筆画教室を開催していたのでした。



恵比寿での教室が終わり、みんなで階下の「つばめグリル」でお茶して帰ろうとした時、S先生から

「ちょっとお話があるの。いいかしら?」と呼び止められました。

S先生と私は、つばめグリルから「スープ・ストック・トウキョウ」へと場を移しました。

先生から聞かされた話は、南青山の教室の存続についてでした。

これまで「ケイコとマナブ」で宣伝を繰り返してきたのを、アトレの教室に移行したことで広告宣伝を打ち切っていました。

当然、教室利用者は激減です。 私もブログ等で色鉛筆画教室の日程について記事を書いてきましたが、そんな宣伝などたかが知れています。

ツキイチの色鉛筆画教室以外に、南青山の教室でいくつか運営されていたカルチャー講座も、生徒が激減してたち行かなくなっていました。

それでもS先生としては、立地条件的にも捨てがたい物件なので、このまま続けて行きたいが、あなたはどうか?と問われました。


うーん・・・・

正直、微妙でした。

実際問題として、生徒さんは他の教室同様に少ないし、増える可能性はゼロに近い。 なにせ殆ど広告宣伝してないし。。。

私自身も電車賃をかけて通ってきてレッスン料を頂いても、毎回赤字なのです。

それでも続けてきたのは、それも自分の人生の中の修行だと思ったから。 自分に向いてきた出来事は、拒絶ではなく受入れで対処しようと思ったから。

最初から拒否していたら、物事は進みませんから。すべては前向き・ポジティブに考えて、雇われ講師を引き受けて来たのでした。

それに、結構楽しかったのです♪時間やお金を無駄にしていると思われるかもしれませんが、 故ジョン・レノンが言うように、「楽しんで無駄にした時間は、無駄じゃない」と、私は思っています。

S先生は、私に南青山の教室を全面的に引き継いで欲しいと思っていたようですが、私にはとてもそんな事など出来ませんとお断りしました。

第一、遠い。往復5時間もかかる行程では、細かな管理など出来ません。

それに、私自身がそんな器じゃありません。 絵の教室をやってみて痛感した事は、教える側のレベルも重要ですがネームバリューもそれ以上に大切なのです。

美術団体のどこにも所属していないフリーの立場な私自身がどこの馬の骨とも解らない絵師でしかない。

私自身の知名度をあげなければ、誰もついては来ない。 その為には、もっと作品を描いて発表しないといけない。個展が出来るくらいに作品をそろえて。 そして、絵を売る事をしないと。 ビジネスとしての自分の絵の価値を上げないといけない。
(私自身、それが一番消極的なのでして)

講師としてのプロフィールがほとんど白紙な私などに、誰が「絵を教わりたい」と思うでしょうか?

また、そうした事に自分のパワーを注ぐには、今の仕事をもっと減らすか退職して絵だけに打ち込む様にしていく必要もあります。

今のままだと、平日は仕事終わって帰宅したら、ご飯食べてバタンキューだし・・・

絵を描く事は体力・気力ともに、スポーツと同等のエネルギーを使います。 これまで、私は色鉛筆画を沢山描く度に体調を悪化させてきました。 この9月にも、展覧会直後にダウンしてしまったし・・・

つるの恩返し状態(笑) 沢山絵を描く為には、まずは体調を復活させ、持病も安定させないと。

・・・などと、色んなハードルを掲げて先生に説明しました。

先生はうつむき、ちょっと寂しそうな顔をしていました。

私は、

「先生、本当にあの南青山の教室を手元に残したいのであれば、私になど相談せずに先生1人の独断で決めれば良いことです。私に相談するって時点で、先生は迷ってらっしゃいますね。迷いがあると言う事は、それだけマイナス要因も大きく、あの教室は先生にとって今現在、負担になっているのではないですか?ならば、思い切って手放した方が気が楽になるし、ストレスも無くなると思います。執着は何も生み出しません。手放す事でまた新たなチャンスが巡ってくるかもしれませんよ」

と申し上げました。

先生はちょっとビックリした様な顔でこう言われました。
「そうなの?どうして解るの?実は懇意にしている易者さんに同じ事を言われたのよ」

私は占いとかまったくのド素人ですから(´・ω・`;)
せいぜい、今日のさそり座〜〜、とかごくたま〜〜に見る程度ですwww

「南青山の教室は先生のものです。私の事を考えて残そうと思って下さるのはとてもありがたい事ですが、それよりも先生が楽しめるかどうかで決めた方がいいと思います。しんどいのであれば、方向転換は必要です」

「そうね・・・そうかもしれないわね・・・」 S先生はしばらく黙っていましたが、

「決めたわ。教室の契約更新、しない事にしたわ。明日、書類にハンコ押して不動産屋さんに送るわ」

そう言うと、先生はスッキリした様に笑いました。


色鉛筆画教室での3年間に及ぶ私の悪戦苦闘(笑)の日々はここに完結する事となりました。

色々楽しい事もありました。無駄に思う事は何一つありません。 来て下さった方々には心から感謝しています。

しばらくはアトレ恵比寿のカルチャー教室で、でツキイチ色鉛筆画教室で講師をします。

どんな出来事も、紆余曲折があったとしても、最後は幸せに繋がっていると信じています。 不幸な結果になるのは、自分で進路を曲げるからです。 執着する事もいけません。自分にはこれしかない!と決めつけてしまうだけでは道は広がっていかないし、後退するばかりです。

時期が来たら、人でも物でも手放す事は大事です。 マイミクさんの10数名を、感謝の気持ちと共に手放したら、気持ちがとても軽くなりました。 野に鳥を放った様な、いや、私が鳥になった様な(笑)気分でした。


そして、私はまた行く手に伸びる新しい道を歩きだすのでありました!!!

頑張れ、アタシ!!