かじかのつぶやき

絵を描き 写真を撮り 本を読み 猫と遊ぶ ときどきお仕事な日々。。。

鹿を撃つ。

今週のお題「心に残る映画」

最近は映画を観る機会が随分減りました。
心から「これ観たい!」と思う映画がないのと、
ちょっと気になるな・・・と感じた映画は、後でTSUTAYAのレンタルDVDで観る事が多くなったからです。

それでも20代の頃は毎週の様に映画館に足を運び、年間30本以上観ていた時期もありました。

熱しやすく冷めやすい典型的性格・・・。

そんな中、今も記憶にずっと残っている映画はコレ↓

若き日のロバート・デ・ニーロや、クリストファー・ウォーケン、ジョン・サベージ、そしてメリル・ストリープ
彼らの熱演に衝撃を受けたのは高校生の時。
たまたまテレビの洋画劇場で観たのがきっかけで、ベトナム戦争の狂気や、移民の子孫として暮らすアメリカでの陰鬱な情景などが胸に刺さりました。

ベトナム戦争に徴兵されたデ・ニーロ、ウォーケン、サベージの3人が、死と隣り合わせの極限状態で精神的に追い詰められていき、心身に深い傷を負ってしまいます。
中でも、ウォーケンはベトナム軍の捕虜になってロシアンルーレットの賭け台にされ、こめかみに銃をあてて引き金を引く事を強要され、それが元で心を病み、ベトナムの闇社会へと身を落としていきます・・・
サベージは逃げる途中でヘリから落ち、足を切断するという大けが。
仲間を救えなかった罪悪感に苦しみ、一人戦地から故郷へ戻るデ・ニーロ。
サベージの治療費がベトナムから送金されている事を知り、再びベトナムへ。
そこで見たのは・・・。

戦争という狂気が人をとことんまで痛め付ける事を、マイケル・チミノ監督はこれでもかこれでもか、という重い映像で突きつけてきます。
のほほんと暮らしていた高校生の私には、とんでもない衝撃でした。
見終えてしばらくは、ロシアンルーレットの映像が頭から離れず、ことある毎に脳内再生してはショッキングな物語に胸をふるわせておりました。
ラストに流れるもの悲しいギターの旋律が、つらい人生を歩まなければならなくなった人々の悲哀をことさらに強調するようで、今でも時々耳にするこのメロディは、私の心にまで悲しみを募らせます。

余談ですが、
デ・ニーロやウォーケンの仲間で、皮肉屋で偏屈な男を演じているジョン・カザールは、当時メリル・ストリープの実生活での恋人でした。
撮影中に胃癌を患い、映画の最初に出てくる彼と、ラストで再登場する彼とではまるで別人の様でした。
ラストでは治療によって髪が薄くなったうえ驚くほどやせ細っていて、この映画が彼の遺作となりました。

メリル・ストリープが、恋人・ウォーケンの帰還を待ちながら仲間とボウリングで遊ぶシーンは唯一ほのぼのするシーンです。
ボールを投げようとして滑ってこけるんですが、アレは演技じゃなくホントにコケたNGシーンだったんじゃないかなって気がしてます。さて、本当の所はどうなんでしょうか(笑)

また昔の様に、映画の公開情報をチェックして、もっと映画に親しもうかな、と思いつつ、月日はダラダラと流れていくのでありました。