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かじかのつぶやき

絵を描き 写真を撮り 本を読み 猫と遊ぶ ときどきお仕事な日々。。。

猫のふうちゃん物語

我が家の猫、ふうちゃんは、今年10歳になる雄の白黒猫です。

気ままに食べ、寝て、ふいに外に遊びに出掛け、時々野鳥や野ネズミを捕らえて帰還します。

ノンビリ自由に出歩いているふうちゃんですが、左後ろ脚には金属プレートが埋め込まれています。

10年前の秋。
とある日曜日の朝。
当時住んでいた家の勝手口で、か細い猫の鳴き声がしました。

ドアを開けてみると、裏庭の石垣の端っこに、小さな白黒猫がうずくまっていました。
おびえたようなまん丸い目で私を見ると、ふいに立ち上がって逃げようとするのですが、身体がふらつき、そのまま石垣から転落(高さ約2m)!

あっけにとられて見ている私の前で、仔猫はヨタヨタと立ち上がると、下水道のU字溝に入り込んで庭から逃げようと走り出しました。

が、その動きがおかしい・・・

私は加トサンを起こして、裏庭に歩き方のおかしな猫がいると教え、二人でもう一度裏庭へ出てみました。

仔猫はU字溝をヨタヨタしながら逃げ、前庭近くまで移動してうずくまっていました。

私と加トサンでU字溝の前後にしゃがみ、挟み撃ち状態にして仔猫を捕獲。

やせこけて顔じゅうかさぶただらけで毛が生えてない。
左後ろ脚がダラリと垂れ下がり、動きません。
走って逃げようとしても、後ろ脚をズルズル引きずりながらの移動ですから、簡単に捕まってしまいました。

丸い目を見開き、観念したのか、逃げようともせず、加トサンの両手の平の中で丸くなっておびえていました。

私「ど、どうしよう・・・?」

加「ん・・・このまんまじゃ、ひかれちゃうよなあ・・・」

当時住んでいた家は、国道の真ん前。
ひっきりなしに大型ダンプが通過していきます。
隣近所でも昔はどこでも猫を飼っていた様ですが、端から車に轢かれてしまい、今では完全室内飼いで飼育してる家があるかどうか・・・な状態。

猫にはとても住みにくい地域でした。

とは言え、捕獲してしまった以上、不自由な足の猫をそのまま放逐する事も出来ません。
とりあえず動物病院に電話をしてみよう・・・。

私は電話帳を調べ、隣の市にある小さな動物病院を見つけ出して電話をかけてみました。
有り難い事に、そこは日曜日でも診療をしてくれる所でした。
診察時間になるのを待って、仔猫を粉せっけんの空き箱に入れて病院へ。

事情を話してレントゲン撮影をしてもらうと、後ろ脚の骨が割り箸を折った様に折れて完全に離れてしまっています。
栄養失調もひどく、腎臓が弱っているとの事。
仔猫の細い細い骨をつなげるには、金属プレートで補強しないと無理。
そして、入院と手術の総額は約10万円になるだろうとの事でした。

じゅ、じゅうまんえん・・・???

女性の院長先生は静かに言われました。
「この猫ちゃんは、たまたま保護されただけで、まだノラ猫です。あなたに治療の義務も飼育の義務も発生していません。このまま外に放しても、交通事故に遭わなければ何とか生き延びていけますが、左後ろ脚は常に引きずっている状態になるので、キズがついてそこからばい菌が入り、病気になる可能性もあります。もし、この子を飼われるのでしたら、手術をすれば今よりもずっと長生きになる事は確かです。手術は金属プレート埋め込みの他に、断脚という選択肢もあります。3本脚になりますが、オトナになれば3本脚でもちゃんと歩いたり走ったり出来ますよ。去勢手術もすれば、無駄にケンカする事もなくなるので、15年は生きられると思いますね」

私「そ、そうですか・・・」

院長先生はにこやかに、
「1度、ご家族とご相談されてよくお考えになってから、手術をするか、しないかを決めて下さい。とりあえず、1度お家にお連れになって、その後ご連絡下さい」
と言われました。

10万円・・・

段ボール箱の中でうずくまる、小さな身体を見下ろし、しばし考え込んでしまいました。

帰宅後、加トサンと腕組みして考えた結果。

この子はうちにたどり着いたのが縁。
手術はする。金属プレートを埋め込む。

と言う結論に達しました。
その日は、犬用に買った大型ケージに猫砂を入れたお菓子の箱と古い毛布を敷き、猫砂と一緒に急いで買ったキャットフードを小皿にあけて入れてやり、一晩そのまま様子を見る事に。

翌日、仕事が終わった夕方、もう一度段ボール箱に仔猫を入れて病院へ。。。
話し合った結果を報告すると、スタッフさんの顔がみるみる笑顔に。
「わかりました。それでは元気になるまで、こちらでお預かりいたしますね」

私は問診票に記入して、保証金の5万円を払って猫を病院に預けました。

手術は成功し、マッチ棒数本程度の細い骨は、金属プレートでガッチリと固定されました。

後は骨がプレートに密着して折れた部分とくっつけばOK。
それにはしばらく時間がかかりそうですが。

その話を絵画教室のお仲間・Uさんに話したら、猫好きなUさんが何とカンパをして下さいました。
有り難いです。本当に嬉しかったです。

そして、退院の日。
ギプスで脚を固定した仔猫を引き取りに行くと、院長先生が、
「私達は、このノラ猫ちゃんの治療と飼育を引き受ける事にしたその決意に感動しました。そして、治療費の半額は私達で持ちたいと思います。どうぞ一生可愛がってあげて下さい」
と、申し出られました!

本当にビックリでした!そして感激しました!

結局、10万円の治療費は、カンパと半額OFFによって、かなりお安くなったのです。

退院した仔猫は、妹が中国語の縁起の良い言葉を選び「福太(ふうた」と名付け、ふうちゃんと呼ばれる様になりました。

退院した夜に撮った写真。

手術跡も生々しい左後脚。。。

あれから10年。
脚の骨はすっかり太くたくましくなり、金属プレートは骨の中に埋もれるカタチになっています。

庭や野原を全力疾走したり、庭の植木によじのぼったり、蝶々や鳥に向かって思い切りジャンプしたり、脚にハンディがあるとはとても思えません。
最近は年を取ってきたせいか、飛んだり跳ねたりする事はめっきり少なくなりましたが、拾ってきた当時、病院スタッフに可愛い可愛いともてはやされた顔立ちは今も変わらず、大きな丸い目をしています。

去勢するとおとなしくなると言われますが、ふうちゃんに限っては全くあてはまらず、小さい頃から近隣の猫と乱闘騒ぎを起こしています。。。

ケンカもまぁ、雄だから仕方ないですね。
でも、年を考えて今年からはおとなしく穏やかに暮らして欲しいものです。

そして、いつまでも元気で長生きしてほしいです。。。